日本の選挙では有権者全員に投票所入場券が送られ、たとえ入場券が届かなかったり、紛失した場合でも、本人確認ができれば投票することができます。しかし、米国では、投票するためには前以て登録が必要です。そして、選挙投票の際にIDの提示を求める法律、「投票者ID法」(Voter ID Law)を制定している州が、未実施の州を含めて33州あります(source: National Conference of State Legislatures)。一口に「投票者ID法」といっても内容は州によって異なり、写真つきIDを要求する州、写真なしIDでよい州、厳格にIDを要求する州、それほど厳格ではない州に分かれます。一般的にIDとして認定されるのは、運転免許証、軍身分証明書、州身分証明書(発行しない州もある)、パスポート、学生証ですが、メンフィス(Memphis)市では、2012年11月6日に行われた米国大統領選挙の投票時に、図書館カードも有効なIDと認められたことが話題を呼びました。 続きを読む 米国で図書館カードを投票者IDに認定
年別アーカイブ: 2012年
電子書籍出版状況と購入者行動(米国)
日本の電子出版事業をサポートするために、4月2日に出版業者が共同で「出版デジタル機構」を発足させ、官民ファンドの(株)産業革新機構が150億円を出資することになりました。これにより日本における電子書籍のマーケットが拡大されることが期待されます。世界的に電子書籍の出版が拡大していますが、その中でも特にマーケットが広く、購入者も急増している米国に焦点を当て、出版状況や電子書籍購入者の行動傾向についての最近の調査結果をまとめてみました。 続きを読む 電子書籍出版状況と購入者行動(米国)
米国の小さな無料ライブラリー
昨年秋ニューヨーク市で起きた抗議運動「ウォール街を占拠せよ(OWS: Occupy Wall Street)」では、人々が自由に資料を持ち去ったり、寄付したりすることができる「People’s Library」が作られましたが(参照:「ウォール街を占拠せよ」People’s Library)、米国ではここ数年各地に、同じようなコンセプトをもって個人が設置する小さな無料図書館が出現しています。すべての試みが順調に成功しているというわけにはいきませんが、地域社会の連帯を強めるものとしての共感を呼んでいるように思われます。 続きを読む 米国の小さな無料ライブラリー
米国の電子書籍リーダー/タブレット状況
米国では、2011年のクリスマスに電子書籍リーダーやタブレットをギフトに選んだ人が多く、今や米国人6名のうち1名が電子書籍リーダーかタブレットを所有していることが、Pew Research Centerの調査によって明らかになりました。今回発表された調査結果には、読書習慣や電子書籍に関する図書館との関係についての分析は含まれておらず、それらは今後の分析を待つことになります。Harris Interactive社も同様の調査を行い、その結果を2011年9月に発表していますが、それには読書冊数と書籍購入数、読書習慣の変化の数値も含まれています。タブレット利用者の満足度調査の結果も併せて紹介します。なお、調査会社Forrester Researchの概算によれば、電子書籍リーダー/タブレットの販売数は、Kindle Fire($199)とBarnes & Noble社のNook Tablet ($249)が2011年11月の販売開始後、それぞれ500万台と200万台、iPad($500~$830)が2011年に4,000万台となっています。 続きを読む 米国の電子書籍リーダー/タブレット状況
フィリップ・プルマン氏が反対する図書館閉鎖その後
英国では、財政難に苦しむ地方自治体による公共図書館の閉鎖やサービス低下が、今大きな問題となっています。“Public Libraries News”(2011年10月7日)の調査によれば、2011年4月1日以降、全国4,612の図書館のうち、約10分の1の434図書館(87移動図書館を含む)が閉鎖済み、又は閉鎖の危機に瀕しているか、あるいは地方議会のコントロール下にあります。Chartered Institute of Library & Information Professionals*は、600の図書館が危機に瀕するだろうと予測しています。このような状況下で、フィリップ・プルマン(Philip Pullman)を始め、著名人が反対運動に加わったことから注目を浴びたブレント・ロンドン特別区(Brent Council)の図書館閉鎖をめぐる上訴審の決定が出ました。 続きを読む フィリップ・プルマン氏が反対する図書館閉鎖その後