米国ライブラリアンの雇用と給与

日本では司書資格を取得しても就職が難しいことが問題になっていますが、米国でもライブラリアンの失業率は4番目に高く、しかも就職できても給料は下から2番目だという調査結果をWall Street Journalが発表しました。Library Journal誌が行ったライブラリー・インフォメーションスクール卒業生の調査結果と米国研究図書館協会(American Research Libraries, ARL)の給与調査と併せて紹介します。

1. Wall Street Journalは2010年のセンサスに基づき、大学173専攻科目の失業率・給与・人気の高さを示すリストを作成し、2011年11月8日に発表した。それによると、ライブラリー・サイエンス専攻者の失業率は15%で4番目に高く、年給与(中央値)は$36,000(280万円)で、下から5番目、そして人気の高さは173科目中159番目である。なお、失業率がライブラリー・サイエンスよりも高い専攻科目は、米国歴史(15.1%)、種々の美術(16.2%)、臨床心理学(19.5%)で、年給与が低いのは、視覚・舞台芸術、教育心理学、カウンセリング心理学、そして最低が学校生徒カウンセリングの$20,000(156万円)となっている。

2. Library Journal誌は毎年、米国図書館協会(American Libraries Association, ALA)認可ライブラリー・インフォメーションスクール(大学院)卒業生の雇用と給与の調査を行っている。「2011 Placements & Salaries Survey」では、2010年に38の認可スクール*を卒業した1,789名(全卒業者の37.3%)からの回答を得た。それによると失業率が6.7%、平均初任年給は$42,556(331万円)と、Wall Street Journalよりは良い数字が示されている。2009年の失業率7.8%、平均初任年給$42,215(329万円)と比べると多少の改善が見られるが、不景気の中で就職は競争が激しく安易ではない。特に、分館の閉鎖や職員のレイオフなどが行われている公共図書館における採用は減少している。ただし、2009年よりも採用が増加した部門もある。児童サービス担当のライブラリアン(採用数31.6%増)とレファレンス・ライブラリアン(同22.8%増)である。就職活動期間は平均5ヶ月だが、はるかに長い期間を費やす卒業生もいる。専門職として正職員に採用された卒業生の割合は年々減少しており、2010年は59.2%に過ぎない。

* 全認可スクール数=48

平均初任年給

2007年 2008年 2009年 2010年
$42,361  $41,579  $42,215 $42,556 



専門職として正職員に採用

2007年 2008年 2009年 2010年
75.8%  68.2%  61.0% 59.2%



失業率

2007年 2008年 2009年 2010年
4.7%  5.9%  7.8% 6.7%



調査回答者のうち、大学図書館で勤務しながら学んだ卒業生の44.7%は同じ図書館での勤務を継続したが、修士を習得した後に地位や給与が上がったのは、わずか22.1%である。それに比べ、公共図書館勤務者の場合は48.8%が同じ図書館での勤務を続け、46.1%の者が昇進、昇給、あるいはシステム内での昇格を経験している。

3. 米国研究図書館協会(American Research Libraries, ARL)は毎年、研究図書館で働く専門職員を対象とした給与調査を行っている。「ARL Annual Salary Survey 2010–2011」では、ARLメンバー115の大学図書館で働く10,037名と11の研究機関図書館で働く3,709名に対する調査が行われた。米国ARLメンバー大学図書館専門職員の2010年の年給与(中央値)は$65,000(506万円、2009年の1.5%増)、平均年給与は$71,184(554万円、2009年の1.4%増)である。

米国ARLメンバー大学図書館専門職員年給与(中央値)

2007年 2008年 2009年 2010年
$61,329  $63,673  $64,069 $65,000



米国ARLメンバー大学図書館専門職員平均年給与

2007年 2008年 2009年 2010年
$67,202  $69,699  $70,216 $71,184



初任給は、$33,000~$63,200と大学によって大きな差がある。

4. 米国労働省労働統計局が2010年5月に発表した概算によれば、ライブラリアンの平均年給与は$56,360(439万円)、年給与の中央値は$54,500(424万円)である。この数字には図書館職員だけでなく、教育機関、企業、政府機関、NPO、医療機関などの分野で働いているライブラリアンも含まれる点で上記の数字ともまた異なるが、公共図書館よりも大学図書館の給与が高いことは間違いなさそうである。

From College Major to Career
http://graphicsweb.wsj.com/documents/NILF1111/#term=Art

The Long Wait LJ’s Placements & Salaries Survey 2011: Tight Competition
http://features.libraryjournal.com/placements-and-salaries/2011-survey/tight-competition/

Placements & Salaries Survey 2010: The Recession’s Toll
http://www.libraryjournal.com/lj/careers/salaries/887205-305/placements__salaries_survey_2010.html.csp

Placement and Salaries Survey 2009: Overview
http://www.libraryjournal.com/article/CA6700592.html

[ARL] Salary Survey Tables 2010-2011
http://www.arl.org/bm~doc/tables2010-11.xls

Occupational Employment Statistics
http://www.bls.gov/oes/current/oes254021.htm#(2)