前回の記事では、テネシー州のメンフィス(Memphis)市では、2012年11月に行われた米国大統領選挙の際に、図書館カードも有効なIDのひとつとして受け付けられたことをお知らせしました。しかし、それから約11ヵ月後、図書館カードは有効なIDとは認められなくなってしまいました。 続きを読む 米国で図書館カードを投票者IDに認定(続)
年別アーカイブ: 2013年
米国の公共図書館で除籍をめぐって紛糾
図書館では所蔵資料の除籍は、魅力的なコレクションを利用者に提供するために必要不可欠な業務のひとつとされ、各図書館はそれぞれのポリシーや基準に従って、定期的に除籍を実施しています。しかし米国では、何故図書を捨てる必要があるのかを理解してもらえず、利用者から厳しい批判を受けることがあります。1980~1990年代に20万冊を超える図書を除籍したとして、作家のNicholson Bakerに糾弾され*、悪評を被ったSan Francisco Public Libraryの例が有名ですが、最近も、米国の図書館で除籍をめぐる問題が続けて起こり、図書館長が更迭されるケースまで登場しました。 続きを読む 米国の公共図書館で除籍をめぐって紛糾
英国公共図書館閉鎖の危機
英国では近年公共図書館の閉鎖が続き、図書館界の大きな問題となっています(当サイト記事「フィリップ ・プルマン氏が図書館の閉鎖に反対」-2011年11月22日-参照)。失われた公共図書館の数は2012年だけでも200分館にのぼります。2013年には新たに300の分館が閉鎖されるのではないかと言われていますが、予測についてはさまざまな説があります。図書館員だけではなく、著名な作家たちも閉鎖に反対の声を挙げていますが、楽観できない状況のようです。 続きを読む 英国公共図書館閉鎖の危機
米国公共図書館の睡眠禁止規則
アイオワ州Iowa Cityの図書館理事会(Board of Trustees)が、図書館内での睡眠禁止を、2013年1月に決定しました。日本にも千代田区立図書館のように、居眠り禁止を館則に明記している図書館はありますが、米国では、睡眠を明確に禁止している図書館は少数派とは言え、珍しくはありません。しかし、米国図書館協会(American Library Association, ALA)はこの件に関する調査はしておらず、その数は不明です。図書館で眠る利用者に対しては、他の利用者からの批判もあり、公共図書館の職員を悩ます重大な問題のひとつとなっています。禁止すべきかどうか、居眠り程度でも禁止すべきか、などをめぐって対立する意見があり、対応方法も図書館によりさまざまに異なります。 続きを読む 米国公共図書館の睡眠禁止規則
貸出資料延滞への対策
日本では貸出資料の返却が遅れた場合に延滞金を徴収する図書館は、極めて少数ですが、米国や英国では多くの図書館が延滞金制度を採用しています。強引に取り立てる図書館もあれば、延滞金の代わりにコミュニティ・サービスを課したり、延滞者に対する恩赦措置を施したりする図書館もあり、その方法は一様ではありません。延滞金制度に疑問をもち、廃止する図書館も出てきています。しかし、延滞金に関する全体的な統計は米国にも英国にも見当たらず、延滞金制度を採用している図書館の数すら不明です。英国では、2005年にSCONUL(Society of College, National and University)メンバー図書館を対象とした調査が行われましたが、回答した1/3の図書館のうち96%が、延滞金制度があると答えています。 続きを読む 貸出資料延滞への対策